村正という剣がある。
大きくうねった波紋が波打ち、表裏の波紋が揃っている特徴を持つ。
斬味凄絶と名高く。刀剣としての性能は古今無双とされている。
だが、後の世に国宝とされた刀剣の中に「村正」の銘を持つものは一振りも無い。
その姿は美術品とはかけ離れており、かけ離れたが故に妖しい鋭さと美しさを備える。
ただ、人を斬る事だけを求めて進化した。剣の成れの果てである。
人はこれを魔剣という。
村正が魔剣と呼ばれるように、人におけるそれがある。
ただ、人を斬る事だけを求めて進化した。人の成れの果てである。
これを魔人という。
時に1939年。
極東。 帝都「東京」に一人の男が降り立った。
名を幸秋、「真田幸秋」。
神君「徳川家康」に牙を剥きし、「真田幸村」その子孫である。